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国内法体系

 
医療放射線管理に関連する法令は以下の5つです。

原子力基本法

  1. 目的
    原子力の研究、開発及び利用を推進することによって、将来におけるエネルギー資源を確保し、学術の進歩と産業の振興とを図り、もって人類社会の福祉と国民生活の水準向上とに寄与すること
  2. 関係する主な政令・省令
    核燃料物質、核原料物質、原子炉及び放射線の定義に関する政令

放射性同位元素等の規制に関する法律(RI法)

  1. 目的
    原子力基本法の精神にのっとり、放射性同位元素の使用、販売、賃貸、廃棄その他の取扱い、放射線発生装置の使用及び放射性同位元素又は放射線発生装置から発生した放射線によって汚染された物の廃棄その他の取扱いを規制することにより、これらによる放射線障害を防止し、及び特定放射性同位元素を防護して、公共の安全を確保すること
  2. 関係する主な政令・省令
    ① 放射性同位元素等の規制に関する法律施行令
    ② 放射性同位元素等の規制に関する法律施行規則
(平成29年4月14日交付。平成31年9月1日施行)
(リンク:https://www.nra.go.jp/law_kijyun/law/004/index.html

労働安全衛生法

  1. 目的
    労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とすること
  2. 関係する主な政令・省令
    電離放射線障害防止規則(電離則)
    ② 東日本大震災により生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(除染電離則)

国家公務員法

  1. 目的
    国家公務員たる職員について適用すべき各般の根本基準(職員の福祉及び利益を保護するための適切な措置を含む。)を確立し、職員がその職務の遂行に当たり、最大の能率を発揮し得るように、民主的な方法で、選択され、且つ、指導されるべきことを定め、以て国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障すること
  2. 関係する主な政令・省令
    人事院規則10-5(職員の放射線障害の防止)

医療法

  1. 目的
    医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項、医療の安全を確保するために必要な事項、病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備並びに医療提供施設相互間の機能の分担及び業務の連携を推進するために必要な事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与すること
  2. 関係する主な政令・省令
    医療法施行規則

法令間の差異


放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることを目的として、原子力規制委員会(以前は文部科学省)に設置された諮問機関である放射線審議会が放射線障害防止の技術的基準に関する法律に基づき設置されています。この放射線審議会が、行政機関の長の諮問に対する答申または行政機関の長に対する意見具申として統一された基準を提示し、その基準に基づいて各法令が制定されてます。よって、国内法令において放射線防護基準は原則として統一されてことになります。しかし、法律の目的や他法令(労働安全衛生法等)との整合などの理由により、各法令間で若干の差異が存在しています。複数の法令が適用される場合には、厳しい方の規定が適用されます。

項目 RI法 医療法 電離則 人事院規則
規制対象者 従事者(学生含む) 診療従事者 使用者・労働者 国・国家公務員
防護対象者 従事者・公衆 診療従事者・患者 労働者 国家公務員
1 MeV以下の電子線、X線 規制対象外 規制対象 規制対象 規制対象
放射性医薬品 規制対象外 規制対象 規制対象 規制対象
健康診断 1年以内 規定なし 6ヶ月以内 6ヶ月以内
個人記録(線量・健康診断)の保存期間 永久保存(5年保存後指定機関に引渡し可) 規定なし 30年 規定なし
空気中濃度測定 規定なし 規定なし
汚染測定 規定なし 規定なし
管理区域協会・事業所境界の測定 規定なし 規定なし
表面密度限度の1/10を超える物品の持ち出し みだりに管理区域から持ち出さない みだりに管理区域から持ち出さない 持ち出してはならない 規定なし
参考文献:古澤哲、“今こそ復習!”主任者の基礎知識─「もっと基礎を,ここが肝」編─  第7 回 法令、Isotope News 2014年7月号p102