医学物理サマーセミナー2002開催記

JSMP教育委員会の新規事業として企画され、第一回目開催となった、医学物理サマーセミナー2002が、2002818日(日)〜20日(火)3日間の日程で長野市飯綱高原にて開催された。昨年秋のJSMP(大阪)前日の医学物理講習会、今年春JSMP(神戸)での教育委員会・医学物理士対策委員会合同委員会での討議を経、放射線医学総合研究所(放医研)との共催により、開催に到ったものである。主旨は、「医学物理士及び医学物理士をめざす人達の資質の向上をはかることを目的として、系統的な大学院レベルの医学物理講座を開講する(JJMP,Vol.22,No1会告)」に示される。講義項目・内容はAAPMACADEMIC PROGRAM OF SCIENCE DEGREE IN MEDICAL PHYSICS (AAPM report No.44)を参考に選定され、3年間を1クールとして、大学院修士課程レベルの医学物理コースを想定して組み立てられている。

会場となった「アゼィリア飯綱」はカラマツ・シラカバ林に囲まれ、水芭蕉の群生する大谷地湿原、湖面にボートを浮かべた台座法師池が歩いて数分の場所にあり、また、1998年冬季オリンピックを記念して名づけられたスキーフリースタイル競技会場、里谷多恵コースの飯綱高原スキー場を望む、高原の一角に位置する。

 

所属

放医研・粒子線治療施設

放射線技術科学系大学

がんセンター病院

企業

人数

15 (4)

13(7)

5(2)

2(1)

35(14)

所属別受講者数 (認定医学物理士数)

初めての開催でもあり、受講受入予定数は30名程度に限定しての募集となったが、事前広報に十分な配慮が行き届かなかった中で、受講申し込み者は35名、講師5名を含めて、参加者総勢は40名となった。受講者の所属は大別して、放医研を始めとする粒子線治療施設15名、保健学・放射線技術科学系大学13名、がんセンター病院5名、企業2名から成り、認定医学物理士14名(含役員)、未認定21名、年齢層は保健学科学生〜約60歳、40歳以下:以上比はおよそ5:2、女性受講者3名など。

講師には、治療物理領域で福村明史先生(放医研:治療線量測定)、斎藤秀敏先生(都立保健科学大学:外部放射線治療の標準測定法)、診断画像領域は加藤二久先生(都立保健科学大学:X線の発生・被写体・検出器)、西村克之先生(茨城県立医療大学:MRIの原理)、放射線防護では赤羽恵一先生(大分県看護大学)の各分野を代表するの講師陣が選ばれ、それぞれ3時間(2コマ)の講義をご担当戴いた。

・開校に際してセミナー日程を説明する金井委員長

18日(日)

19日(月)

20日(火)

 

9:00-10:30--診断U

加藤二久 PhD

9:00-10:30---防護U

赤羽恵一PhD

 

10:30-12:30--治療V

斉藤秀敏 PhD

10:30-12:30---診断V

西村克之 PhD

13:30-15:00--治療T

福村明史 PhD

14:00-15:30--治療W

斉藤秀敏 PhD

13:30-15:00---診断W

西村克之 PhD

15:30-17:00--治療U

福村明史PhD

16:00-17:30--防護T

赤羽恵一PhD

 

17:30-19:00--診断T

加藤二久PhD

19:00--------懇親会

 

・医学物理サマーセミナー2002日程

初日:午後1時半、日程に従い金井達明教育委員会委員長の進行により開校し、30分の休憩を挟みながら7時までの講義。翌日2日目の講義も、午前9時〜12時半、午後は2時〜5時半まで。7時からは、多忙なスケジュールのなか駆けつけた遠藤真広JSMP会長の挨拶と乾杯により懇親会が始まった。参加者一人一人、若手から始まり参加者全員による自己紹介の後、医学物理(Medical Physics)コースに集う熱心な参加者間の談義は盛り上がりを見せ、2時間の宴会は夢のひと時と流れた。懇親会終了後も夜遅くまで、それぞれの部屋やロビーで語り合うMedical Physicist及び、その志願者らの話題の焦点は様々であったと想像される。ながのコンベンションビューローからの「歓迎」の立看板を傍らに撮影した集合写真は、翌3日目の1時限終了後のものだが、参加者一同の笑顔が印象深い。

・集合写真(日程3日目午前)

 

診断T:加藤先生

診断V:西村先生

教室風景

治療T:福村先生

治療V:斉藤先生

防護T赤羽先生

委員会としては、多くの課題を抱えながらの開催であったが、理事会始め関係者各位、多忙にも拘らず短期間で講義内容まとめ、熱意あふれる講義をして下さった講師の方々、また、北は弘前から、南は九州福岡・大分まで全国からの熱心な多くの参加者に支えられて、第一回医学物理サマーセミナーはまずまずのスタートとなった。会期中に行われた委員会では、来年度、第2回の開催について、同一会場を第一候補とし、参加受入人数枠の拡大、よりきめ細かな準備・運営などを申し合わせた。開催日程は、国際医学物理学会ICMPSydney:2003,8/24-29)を考慮しながら早めに決定する予定である。

refresher courseとして参加された認定医学物理士と、将来我が国の医学物理の中心的存在になることが期待される若手受講者の構成人数比は、然るべきバランスのとれたものに思えた。また施設としては、今後、粒子線施設物理部に加えて、大学病院・がんセンターなどより広範な放射線医療施設、保健学系大学院などからの参加者の増加が期待される。募集時に若手優先を謳ったため、希望しながら参加を差し控えた会員もおられたものと推察されるが、懇親会での自己紹介・交流を見て、このサマーセミナーは、中心を若手に据えながらも幅広い年齢層からの積極的な参加を受け入れることが望ましいと思った。

医学物理の発展は、放射線医学に留まらず、21世紀医療全体の発展の大きな原動力となるに違いないと信ずる。なぜなら、X線の発見以来、物理学の医療への応用が、現在のRadiological Scienceを生み出し、今や画像診断の無い医療が考えられない現実を生み出している。加えて、近い将来、放射線治療を差し置いた、がん治療が考えられない現実が到来することを待ち望みたい。米国のとある著名なDepartment of Medical Physicsは、our research themes are strongly aligned with” minimally invasive medicine”, the paradigm for health care in the 21st centuryとするMission Statementを掲げる。我が国における医学物理教育の枠組みの整備は、その様な医療環境をより身近な実現に導くための社会基盤の整備に似た重大にして、かつ実は緊急な課題であると、我々は位置づけている。

JSMP教育委員会2002.9.20)