会長挨拶

ごあいさつ

日本医学物理学会会長 遠藤真広

 医学物理学は物理工学の知識・成果を医学に応用・活用する学術分野であり、応用物理学の一分野を構成します。医学物理学の伝統的な対象は放射線の医学応用であり、当学会では設立以来、この分野で様々な成果をあげてきました。特に最近ではがんの放射線治療や核医学への応用分野で活発な研究活動を行っています。しかし、当学会の活動分野は、これに限るものではなく、MRI、超音波、温熱など電離放射線以外にもおよびます。
 医学物理学は、X線の発見とその医学利用から始まったと言うこともでき、我が国においても第2次世界大戦以前から研究されています。しかし、組織的な研究活動は、戦後、日本医学放射線学会において始められました。当学会の直接の起源は、日本医学放射線学会の内部組織として設立された物理部会であり、その設立はおおよそ50年前に遡ります。そして、春秋年2回開催されていた学術大会が、本年秋に100回目の開催となることから、これを記念大会として祝賀する運びとなっています。
 部会設立後の医療技術の発展はきわめて目覚ましいものがあり、またそれに伴い専門化も著しく進みました。そのようなことを背景として、10年前の2000年に日本医学放射線学会から独立して、日本医学物理学会として再発足いたしました。その後の会員数の伸びは著しく本年3月末には1600人を越えており、10年前に比べると2倍となっています。
 当学会は、研究活動だけではなく、医学物理を医療現場において実践する専門職である医学物理士の教育、養成および認定にも力を注いできました。従来は日本医学放射線学会の行う医学物理士の教育、認定に協力してきましたが、昨年には同学会と共同で一般財団法人医学物理士認定機構を設立し、その教育、認定に取り組むことになりました。医学物理士数も、最近大きく増加し、500人近くとなっております。
 このように医学物理が大きく発展する中で会長に就任することとなりました。この勢いを持続し、さらなる発展に貢献したいと考えています。具体的には、1)100回記念大会など学術大会を成功させることに努めます。2)日本放射線技術学会との共同英文誌Radiological Physics and Technologyを拡充し、国際的な情報発信を強化します。3)学会活動をより公的なものとするため、学会員の賛同が得られるのであれば、今期中の一般社団法人化をめざしたいと考えています。このほか、標準測定法10などガイドラインを適時に出版するなど、研究成果を医療現場に生かすことに注力します。
 当学会の研究活動を医療現場に生かしていくためには、日本医学放射線学会、日本放射線腫瘍学会、日本放射線技術学会など他学会との協力が必要であり、このような協力を従来に増して進めて行きたいと考えています。
 日本医学物理学会は、医学物理学の推進を通じて、学術の発展と国民医療の向上の一翼を担い社会に貢献したいと考えています。皆様のご支援をお願い申し上げる次第です。

■前会長挨拶